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山下耕太郎

実物不動産投資と不動産クラウドファンディングのリスクを比較

投資のプロがリスクを解説

クラウドリアルティの手がける「不動産クラウドファンディング」は、近年登場した新しい不動産投資のかたちです。マンションの一室やアパート一棟などを購入し家賃や売却益を見込む「実物不動産投資」とどのような違いがあるのでしょうか。個人投資家で、金融・投資ライターとしても活躍する山下耕太郎さんが「リスク」の観点から解説します。

目次

実物不動産投資と不動産クラウドファンディングの違い

実物不動産投資は株式やFX(外国証拠金取引)よりも価格の変動が少なく、毎月安定した家賃収入があるので「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資といわれています。ただ、数千万~数億円のお金が必要です。

そこで、近年は不動産投資の新しいかたちとして、不動産クラウドファンディングが注目されています。数万円から投資できるので、実物不動産投資ほどまとまった資金が必要なく、株式市場などの影響を受けないので安定運用しやすいと人気があるのです。

たとえば、クラウドリアルティが提供する不動産クラウドファンディングの「本町5丁目 京町家再生プロジェクト」(運用中)では、以下のような募集条件になっています。

投資対象宿泊施設
想定運用期間60カ月
想定利回り7.0%(税引前)
一口あたり出資金額5万円
最低出資口数3口

では、実物不動産投資と不動産クラウドファンディングのリスクにはどのような違いがあるのでしょうか。

投資におけるリターンとリスクの関係

金融商品には、必ず「リターン」と「リスク」があります。リターンとは、資産運用を行うことで得られる収益のことです。

そして、リスクとは一般的には「危険なこと」「避けるべきこと」という意味ですが、資産運用では「結果が不確実であること」を意味します。具体的には、「リターンの振れ幅」のことです。

以下の図をご覧ください。有価証券Aと有価証券Bの価格の振れ幅を表していますが、有価証券Bの方が価格の変動幅が大きいので、「有価証券Bのリスクが高い」と判断します。

実物不動産投資と不動産クラウドファンディングはミドルリスク・ミドルリターン

リスクとリターンの関係には密接な関係があります。「リスクが小さい金融商品ほどリターンが小さく(ローリスク・ローリターン)」、リスクが大きい金融商品ほどリターンが大きく(ハイリスク・ハイリターン)なります」

つまり、リスクが低くてリターンが高い金融商品は存在しないのです。

ローリスク・ローリターンの代表は預貯金です。ペイオフにより元本1000万円とその利息まで保証されているので、安全性は高くなります。しかし、大手銀行の定期預金で年率0.01%程度とほとんど利息はつきません。

ハイリスク・ハイリターンの金融商品として株式があります。銘柄によっては、短期間(1~3カ月程度)で2~3倍に値上がりするときもありますが、半値になることもあります。

実物不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」です。まず、価格の変動が株式ほど激しくありません。不動産価格も変動しますが、株式ほど値動きが大きくありません。また、実物不動産投資は、購入時より売却時の価格が上がる値上がり益(キャピタルゲイン)を狙うこともありますが、家賃収入(インカムゲイン)狙いがメインです。

入居者を安定的に確保できれば、家賃収入が毎月入ってきます。家賃収入も大きく変動することがないので安心です。しかも、預貯金よりも高い利回りが狙えます。

価格の変動が株式ほど激しくなく、預貯金よりも安定的な収入が入ってくるので、実物不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」といえます。

不動産クラウドファンディングは後述の通り元本割れなどのリスクもありますが、償還時には元本と分配金が返ってきます。また、実物不動産投資のように必ずしも大きな金額を必要としないので、自己資金で運用できます。

ですから、不動産クラウドファンディングは実物不動産投資よりもリスクを抑えた金融商品といえるでしょう。

以上をまとめると、以下の図のようになります。

ただし、実物不動産投資も不動産クラウドファンディングも元本が保証されているわけではありません。それぞれのリスクをきちんと把握しておく必要があります。

実物不動産投資のリスク

まずは、不動産投資のリスクから見ていきましょう。

空室リスク

実物不動産投資では、入居者がいれば毎月安定的な収入が入ってきますが、入居者がいなければ収入がゼロになります。空室リスクは、不動産投資最大のリスクです。

好立地の物件や、入居者募集に強い賃貸管理会社選びをすれば空室リスクは減らせますが、その選択をするためには自身に知識が必要です。

その点、不動産クラウドファンディングは投資のプロが物件を選定しています。

災害リスク

日本は地震や台風など災害が多い国です。とくに地震は建物に大きな被害が及びます。完全に地震リスクを回避することは難しいものの、被害が大きくならないように地震保険に加入する、新耐震基準の物件を選ぶ、地盤の強い地域を選ぶなどの対策が必要です。

金利上昇リスク

実物不動産投資は数千万~数億円規模の資金が必要になるので借り入れ(ローン)をする人がほとんどです。金利上昇リスクとは、ローンの金利が上がり、支払い総額が上がるリスクです。

金利上昇リスクを回避するためには、変動金利ではなく固定金利を利用する、繰り上げ返済をするなどの対処法があります。

ただ、今は金利が非常に低いために、より低金利で借りられる変動金利を選択している人が多くなっています。10年以上の長期で考えた場合は、金利が上昇している可能性もあるので注意が必要です。

不動産クラウドファンディングは、実物不動産投資のように大きな金額が必要ないのでローンを組む必要はありません。自己資金で運用できるので、金利上昇リスクを気にすることはないでしょう。

不動産クラウドファンディングのリスク

不動産クラウドファンディングは、投資家自身が空室リスクや金利上昇リスクを意識することがないので、実物不動産投資よりもリスクが低いといえます。

ただし、不動産クラウドファンディングにもリスクはあるので、きちんと確認しておきましょう。

流動性リスク

不動産クラウドファンディングは投資期間が決まっています。たとえば、クラウドリアルティでは1~5年程度の想定運用期間となっています。

しかし、不動産クラウドファンディングでは、運用期間中のキャンセルができないケースが多くあるので、資金の流動性リスクがあります。流動性リスクとは、売りたい時に売れないリスクのことです。

日常生活で必要なお金ではなく、必ず余裕資金で運用するようにしましょう。

デフォルトリスク

不動産クラウドファンディングは、不動産のプロが物件やプロジェクトを選びますが、元本や利回りが保証されているわけではありません。ミドルリスク・ミドルリターンなので、銀行預金のように元本や利回りが保証されている金融商品ではないのです。

投資先の運用がうまくいかずに元本や利息が支払われないリスクがあります。不動産クラウドファンディングの会社が倒産してデフォルト(債務不履行)を起こす可能性もあります。

不動産クラウドファンディングは投資なので確実な保証はないということを、あらかじめ理解しておきましょう。

リスクを低くするためには分散投資が有効

実物不動産投資でも不動産クラウドファンディングでも、さまざまな「リスク」があります。リスクを下げるためには分散投資が有効です。分散投資とは、一つの物件やプロジェクトに投資するのではなく、複数の投資先に分けて投資することです。

もし、一つの資産に集中投資すると、その資産の値動きだけで運用資産全体が左右されます。しかし、複数の資産に分散投資しておけば、一つの資産で損失がでても他でカバーできる可能性があるのです。

不動産クラウドファンディングで分散投資

しかし、実物不動産投資では多額の資金が必要になるので、分散投資ができる人は限られています。まず物件を一つ買って、徐々に物件を増やしていくのが通常です。

しかし、不動産クラウドファンディングなら少額から投資できます。できれば、一つのプロジェクトに集中投資するのではなく、複数のプロジェクトに分散投資するようにしましょう。

クラウドリアルティでは、京町家、保育園、飲食店、ワークスペースなど様々な不動産にかかわるユニークな投資物件がそろっています。

まとめ

実物不動産投資は、「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資です。小口から投資できる不動産クラウドファンディングは、分散投資するなどして、実物不動産よりリスクを下げることができます。リスクを把握した上で、不動産クラウドファンディングを資産運用のはじめの一歩として検討してみてはいかがでしょうか。

Profile

金融・投資ライター
山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011


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