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息子の教育費をジュニアNISAで貯めなかった理由

ジュニアNISAをご存知ですか?

子どもを大学まで進学させると想定すると、1人あたり3,000万円ほどの費用がかかるとも言われます。こうした子育てのための資金をどのように捻出するか悩ましいですが、1つの方法として考えられるのがジュニアNISAです。実際にジュニアNISAを利用するか検討した金融ライター・ikumiさんに、そのメリット・デメリット、そして最終的にジュニアNISAを選ばなかった理由について教えていただきました。

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目次

ジュニアNISAの概要

ジュニアNISAは正式名称を「未成年者少額投資非課税制度」といい、ざっくり説明すると子ども向けの非課税口座制度のことです。特に、制度の対象となる未成年のお子さんがいらっしゃる親御さんは、興味があるのではないでしょうか。

ジュニアNISAの特徴

1.利用できる人

日本に住んでいる0歳から19歳の方(口座を開設する年の1月1日現在の年齢)が対象です。2022年4月から成人年齢が18歳になるので、それ以降は17歳までとなります。

2.非課税対象

株や投資信託の配当金や売却時の利益にかかる税金が、非課税です。

3.非課税投資枠

新規投資額で毎年80万円までとなり、枠の繰越しはできません。80万円の範囲内であれば、何回かに分けて投資をすることも可能です。

非課税期間は5年となっています。ジュニアNISAで購入した商品は、5年経過後「課税ジュニアNISA口座」に移ります。ただし、移管専用の「継続管理勘定」が設けられており、ロールオーバーが可能です。自分で手続きが必要ですが、非課税期間を20歳まで継続することができます(税制改正後は18歳まで)。

4.期間

2016年から2023年までの投資が対象となっており、2023年以降はジュニアNISAでの新たな投資はできません。

また2023年までは、18歳までの払い出し制限があり、災害等やむを得ない場合を除き、原則として現金で引き出しすることができません。売却は可能ですが、ジュニアNISA口座から資金をおろすことはできません。2024年以降は払い出し制限がなくなるため、いつでも現金化できるようになります。

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5.ジュニアNISAの始め方

ジュニアNISAを始めるには、金融機関に子ども名義の口座を開設をし、その後ジュニアNISAの専用口座を申込みをします。手続きは1ヶ月から2か月かかることがあるので、注意が必要です。

対象となる金融機関は、証券会社だけでなく、銀行や郵便局でも可能です。商品のラインナップが豊富なのは、投資信託のほかに、株やETF、REITといった商品を取引できる証券会社でしょう。

ジュニアNISAのメリット・デメリット

メリット

1.非課税で運用ができる

ジュニアNISAの一番のメリットは、譲渡益や配当金にかかる20.315%の税金が非課税になることです。例えば売却して利益が10万円出た場合は、通常20,315円の譲渡益税がかかりますが、ジュニアNISAだと10万円がすべて利益になります。

2.教育資金の準備ができる

ジュニアNISAは子どもの教育費の準備のために、活用することができます。

文部科学省の調査によると、幼稚園から高校までの15年間、すべて公立だったとしても、学習費だけで541万円かかると公表されています。さらに大学進学ともなれば、国公立で自宅通学でも500万円は必要です。

子どもが小さいうちから運用を始めることで、長期投資での「複利効果」が期待できます。

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3.投資教育の機会になる

日本の家庭や学校では、アメリカやヨーロッパに比べ、金融教育や投資教育をする場面がかなり少ないと言えます。

日本銀行調査当局が2019年に発表した「家計の金融資産構成」を見ても、日本の家計は有価証券(株や債券、投資信託)は15%しかなく、半分が預貯金ですが、アメリカは半分が有価証券でリスク資産です。ヨーロッパは、ちょうど日本とアメリカの中間程度の資産構成になっています。欧米の資産構成は、金融経済教育の影響だと考えられます。

自分の口座を持つことで、早くから投資に興味を持ってくれる可能性があるのでないでしょうか。

デメリット 

1.2023年12月で制度が終了

ジュニアNISAでの投資は、2023年で終了することが決まっています。つまりこれから3年のうちに投資をした分のみが非課税の対象になります。投資をした分は、その後20歳までは非課税で保有が可能です。ですが、相場状況によってはせっかく投資をしたものが成果を出せない可能性があります。

2.金融機関の変更ができない

一度申し込みをした金融機関は、その口座を廃止して、新たな金融機関で口座を開設しない限り変更することができません。

選ぶ金融機関によって、投資信託などはラインナップが大きく異なります。申し込みをする前によく金融機関を検討する必要があるでしょう。

3.元本割れのリスク

ジュニアNISAは、自分で選んだ投資信託や株で運用します。リスクにもよりますが、元本保証ではないので、価格が変動し損失を抱える可能性があります。

なぜジュニアNISAを使わなかったのか

ここからは、実際に私が子どものために行っている資産形成の方法と、ジュニアNISAを使わなかった理由をご紹介します。

子どものための資産形成

まず子どものための資金としては、3つの方法で準備しています。

1つ目は、子ども手当をすべて「現金」で貯金しています。利息はほとんどつきませんが、何かあったときにすぐ使えるように預貯金で準備しています。

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2つ目が、いわゆる「学資保険」です。貯金との違いは、払い込みの途中で契約者である親に万が一の時があれば、支払いが免除される点と、強制的にお金を貯めることが出来る点です。

18歳から受け取れるので、大学入学のお金がかかる時期に向けての資産形成と考えました。ただし途中で解約した場合は、評価が大きく目減りしますので、無理のない範囲での払い込み額にしています。

最後に、証券会社での「投信積立」です。資産形成のためということもありますが、投資教育の一環になればと思い、様々な投資対象のインデックスファンドを中心に1,000円ずつ、10銘柄の投資信託を積立てしています。

子ども自身の口座でリスク商品を保有することで、より当事者意識をもって、関心が向くのではないかと期待しています。

【参考】初心者が投資で成功するにはコツコツ長期の積立投資がおすすめ

ジュニアNISAを使わなかった理由

ジュニアNISAを使わなかった大きな理由が、「18歳までの引き出し制限」でした。学資保険にも加入しており、学資保険もジュニアNISAも両方ともいざという時にすぐに現金が引き出せないことがネックでした。

2019年から子どもの投信積立をはじめましたが、1年経過したころに「2024年からは18歳までの引き出し制限がなくなる」ということが決まりました。

では、2024年以降はいつでも売却が可能になるが、ジュニアNISAで投資をするのか?

それでも私は、ジュニアNISAでは投資をしないことにしました。理由は大きく分けて2つです。

1.非課税のメリットはないが、未成年口座で子ども名義の投資ができるから

ジュニアNISAは非課税のメリットがありますが、ジュニアNISAを利用しなくても子ども名義の口座でいつでも投資ができます。

しかも損益通算と言って、利益と損失が通算できるようになります。投資は利益ばかりではなく、損失が出ることもあります。損益通算ができることは、ジュニアNISAにはないメリットの1つと言えるでしょう。

未成年口座は、親の同意があれば売買が可能ですので、子どもが興味を持ってくれれば、株を含め、常識の範囲内で売買をさせても良いのではないかと考えています(証券会社によって年齢制限がある場合があります)。

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2.明細を見やすく、シンプルにしたかったから

子どもに自分の口座を見せて勉強させるのであれば、明細はシンプルな方が良いかなと考えました。一般的には、ジュニアNISAで購入した投信と課税口座で購入した投信は明細が分かれてしまいます。

「インデックスファンド・日経225」をジュニアNISAと課税口座で購入した場合は、それぞれの預かりで表記されます。売却をする場合も、どちらの預かりを売却するか選択するようになります。

子どもの口座では、いろんな投資対象の値動きを見て欲しくて、10銘柄の投信積立をしています。ジュニアNISAでも投信積立をした場合、将来的に合計20個の明細を見ることになります。ただでさえ銘柄が多いので、これでは管理が大変だと思い、ジュニアNISAでの投資は断念しました。

まとめ

今回は、ジュニアNISAについて概要と、私がジュニアNISAを使わなかった理由をご説明しました。

制度自体は2023年で終了してしまいますが、非課税のメリットを享受したい人や長期間使わない資金を投資にまわしていきたいと考えている人には、良い制度と言えるでしょう。

投資をする目的をよく考え、それぞれのライフプランにあった資産形成が大切ではないでしょうか。


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Profile

金融ライター
ikumi

国内大手証券会社で約10年間、資産運用コンサルティングビジネスに従事。有価証券・不動産運用、保険、相続・事業承継対策等の、資産にまつわる相談に対応。夫の転勤を機に退職し、専業主婦へ。2019年より家計管理と運用、FPとしての実務経験をもとに、金融系ライターとして執筆活動開始。不妊治療を経て第一子を出産し、絶賛子育て奮闘中。


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